「時」



コップに氷をひとつ入れました。
からんと音をたてて
氷はコップに落ちました。
何を注ぎましょう。
りんご酒でも飲みますか?
こぽこぽと
コップに注いで差し上げましょう。

ほら 聞こえますか?
氷の音です。
ぱちん ぱちん と 鳴る氷の音です。
この氷 そんじょそこらの氷ではありません。

南極の氷です。

何億年と昔の空気が今
この小さなコップの中で
その命を散らせているのです。

雄大な
果てしない
時の流れです。