絵のコンクール
今日はいよいよ絵のコンクールの発表がある。
希奈子はすこしドキドキしながら学校に行った。
となりの席には相変わらずイヂワルな男の子。
「おまえの絵なんて選ばれねーよ!」
いつもの希奈子なら怒って言いかえすところだけど、
今日はふしぎとそんな気にならなかった。
希奈子は緊張していた。
チャイムがなって先生が教室にはいってくる。
朝のあいさつをすると、さっそくコンクールのはなしになった。
「良いお知らせがあります。
みなさんの中で、ひとり、コンクールに入選しました。」
一瞬、クラスが静かになった。
さっきまで色々もんくを言っていたとなりの男子も今はだまっている。
「元山くん。おめでとう。」
クラスがざわめきたつ。
選ばれたのは希奈子のとなりの席の男の子だった。
先生によばれて元山が席を立つと黒板の前へと出て行った。
「すごいね!」
「元山、やったな!」
友だちにひやかされると、元山は
「ま、オレの実力なら当然!」
などと、おどけている。
でも、希奈子は気づいた。元山のほっぺが紅葉していることに。
コンクールの発表が終わると、一時間目の授業中に
先生がひとりひとりに絵を手わたして感想を言ってくれた。
希奈子の番になると、先生がすこし悲しそうな顔をして言った。
「ざんねんだったわね。とても、すてきな絵なのに。」
希奈子はちょっぴり笑うと、
手わたされた絵をちいさなむねでだきしめた。
学校のチャイムがなる。
子供たちが、わあっと校庭に飛びだしていった。
放課後の校庭で遊びまわる子供たちの横を
希奈子はひとり通りすぎていく。
子供たちのあかるくて高い声が、だんだんうしろに消えていった。
そして、希奈子はハス池のそばを通らないで家に帰った。
手にはアフジスカの絵をにぎりしめて。
空を見上げると、とても青かった。
その日の夕飯のときに、
希奈子は絵をおとうさんとおかあさんに見せた。
「おかあさんはこの絵、とってもすきよ。」
「おとうさんもだよ。じょうずに描けているじゃないか。」
おとうさんもおかあさんも希奈子をほめてくれた。
「そうだわ。この絵、額縁にいれてかざりましょうよ。」
おかあさんの言葉に、おとうさんも
「そうしよう。居間にでもかざろうか。」
と、賛成してくれた。
でも、希奈子は悲しかった。泣きだしてしまいそうだった。
コンクールにおちたことが悲しいわけじゃない。
アフジスカの世界が受けいれてもらえなかった。
そんな気がして悲しかった。
夕飯を食べ終わると、希奈子はすぐにじぶんの部屋にもどった。
そして、ベッドにもぐりこんだ。部屋のあかりは消えている。
真っ暗な部屋のベッドの上で希奈子は泣いた。
りーん・・・
電話がなっている。
りーん・・・
アフジスカからの電話だ。希奈子は願った。
アフジスカに行きたい。
「ライラックに会いたい。」
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